理由に着目した感情表現の構成要素分析

 著者
 中山記男、神門典子
 タイトル 
 学会 自然言語処理
 ID:ページ:年、等 165-192, 2007-04-10  
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WEB上のレビューを人手で分析し、「態度」「主体」「対象」「理由」という4つの構成素とその下位要素を定義した。
ほかに感情が生起した理由や根拠を述べている部分「理由」に注目し分析を行った。

はじめに
作品レビューにおける主観的な情報
作品検索の問題点
現在の検索は作品タイトルや登場人物、ジャンルなどを手掛かりにしているが、実際の欲求には「泣ける本が読みたい」「派手な映画を見たい」など、それらを見聞きした結果どのような感情を感じるかというものもある。ヤフー知恵袋などでもよく聞かれている。
我々は、単に作品へ向けられた感情表現中の感情という態度を表明した語句のみから作品を探すのではなく、感情の主体、対象、理由などの他の要素も重要だと考える。

人手でタグ付
作品レビューコーパスに対して「態度」「主体」「対象」「理由」の4つの要素とそれぞれの下位要素を獲得した。
要素は「主体対象理由によって態度と感じた」という風に言い換えられるもの。

理由について
理由には表明のタイプとして明確なものと暗黙的なものがあった。
これらは3つのパターンのいずれかであるか、言い換えられるものが出来る物をいう。
  • (から、ため、ので、よって)+態度 明確①
  • (すれば、してくれば、なら)+態度 明確②
  • (を理由として、を原因として)+態度 暗黙的
暗黙的な理由のパターンは2つあり
  • レビューのドメインに依存した対象(場面・ストーリー・登場人物)の説明が理由になっているもので、直接的な因果関係が成立しないため「~ので」「~から」などに言い換えられない
  • 分析者の体験・世界知識が理由となっているもので「~ので」「~から」などに言い換えられないもの
暗黙の例
「加速する視線移動→耐えられない」
「話の中の世界なのか錯綜した場面→すごく怖い」
「容赦なく降りかかる難題→ハラハラし通し」
「感染したサルが少女に近寄っていくところ→もうドキドキ」

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