長岡技術科学大学 電気系 自然言語処理研究室の平成24年度(2012年度)の研究活動の概要を報告します。
研究室構成員
研究室だより 本日に大学院修了式・学部卒業式が行われ、いずれも4月から就職する修士課程修了の井手上雅迪君、杢 真奈見さん、学部卒業のLuu Tuan Anh君、落合 英将君の計4人とお別れすることになりました。今後彼らが社会で元気に、また彼ららしく活躍することを指導教員として祈念しています。
写真は同日に開催した今年度最終の全体ゼミ(兼言語処理学会年次大会報告会)終了後の記念撮影の様子です(年度末の忙しい時期なので都合により参加できなかった学生や卒業生もいました)。彼らの就職により研究室の学生数は実質的には一桁数になって寂しくなりますが、今後も元気に研究活動を行っていきたいと思います。
言語処理学会年次大会で発表しました (2013.3.13-15)名古屋大学で開催された言語処理学会年次大会で、本研究室から5件の発表を行いました。私(山本)も1件の口頭発表を行いましたし、各学生も自分の研究を理解してもらうために事前に十分な練習を行い、当日は最善の発表を行っていたと思います。我々の発表を聞いていただいた方、議論に参加していただいた方々には心から感謝します。どうもありがとうございました。
なお、本研究室ではすべての発表原稿及び発表スライド(ポスター)を公開しています。もし研究内容にご興味がある方は大会ページをご覧ください。
言語処理学会年次大会に5件の申し込み (2013.1.15)毎年多くの発表を行っている言語処理学会年次大会ですが、今年度は例年よりもやや少ない下記5件の発表申し込みを行い、原稿を無事提出しました。このうち、1件は山本自身が発表することにして原稿も執筆しました(分担)。今年度から、発表申し込みと原稿提出が同時になったので研究室としての対応も変更が必要になりましたが、慣れてくればこの方式のほうが好都合な気がします。 - 小学生の読解支援に向けた複数の換言知識を併用した語彙平易化と評価
- 用言等換言辞書を人手で作りました
- 文字列の出現頻度情報を用いた分かち書き単位の自動取得
- 「やさしい日本語」変換システムの試作
- 常識表現となり得る用言の自動選定の検討
年次大会参加者の中で、もし上記発表のご興味があれば聴講いただければ幸いです。また、すべての発表原稿及び発表スライド(ポスター)は学会発表後に本サイト(大会ページ)において公開します。
マラヤ大学から2先生が訪問 (2012.12.25-28) マレーシアのマラヤ大学(University of Malaya)から Norisma Idris 先生と Rohana Mahmud先生、及びご家族の方が研究室を訪問されました。
訪問の目的は本研究室と進めている国際共同研究の打ち合わせです。本研究室とNorisma先生は交換留学として本研究室学生の杢さんを派遣したのをきっかけにマレー語処理に関する共同研究(技術支援)を進めています。
滞在中はちょうど雪の多い期間と重なってしまいましたが、逆に南国の彼女らにとっては東京でも見られないとても珍しい体験ができたのではないかと思います。滞在最終日には近くのマレーシア人留学生と共に研究室でパーティー(もちろん彼らに合わせた食事で)を開催し、年末の楽しいひと時を過ごしました。
本研究室では今後もNorisma先生とマレー語に関する共同研究を続けていくと共に、学生のアン君が進めているベトナム語処理(研究室のベトナム語ページ)など日本語以外の言語処理(特にアジア諸言語)についても機会があれば積極的に進めていく方針です。
国際会議で2件の発表 (2012.11.13-14) ベトナムのハノイで開催されたThe International Conference on Asian Language Processing (IALP 2012) において、本研究室から以下の2件の発表(口頭発表1件、ポスター1件)を行いましたのでご報告します。
- A Point-wise Approach for Vietnamese Diacritics Restoration [論文] [ポスター]
- Modality-Preserving Phrase-Based Statistical Machine Translation [論文] [スライド]
この会議は2008年からアジア各国で毎年開催されています。今回の会議では発表者のLUU TUAN ANH君が実務訓練中で海外出張できないため、1件は山本が代理でポスター発表を行いました。会議では、ベトナムで開催されていたこともあってベトナム語処理に関する研究がいくつか発表され、また機械翻訳の研究が多かったように思います。また、言語資源の少ない言語(under-resourced language)に対する研究発表や招待講演がありました。
3年生3人が研究室配属 (2012.11.9)本日午後に課程主任から掲示があり、松本 宏、宮西 由貴、ALLOGHO ELLA GEOFFROY GUICHARDの学部3年生3人が研究室に配属されました。昨年度は6名という大量配属でしたが、今年は情報コースの全研究室が3~4名の配属となり、本研究室も3名でした。この配属で本研究室は留学生が2名、女子学生が3名となり、それぞれより多彩な陣容となりました。研究室所属学生数(休学含む)は16名です。
今後の彼らの活躍に期待したいと思います。
Colingワークショップに1件の採録 (2012.11.3)12月にインドで開催されるColing 2012 (the 24th International Conference on Computational Linguistics)のSLP-TEDワークショップ(Speech and Language Processing Tools in Education)に、本研究室から下記1件の論文が採録されましたのでご報告します。Coling は自然言語処理における世界最大規模の国際会議で、2年に1回開催されます。
なお、インドビザを採録後直ちに依頼したのですが開催日までに発給できる保証がないとのことで、研究室史上初めて現地で発表することを断念しました。ただし、事前にワークショップ主催者に事情を説明して了承を得ていますので、論文が採録された事実は残り、予稿集にも問題なく掲載されます。
真嘉比さんが特命学生大使に任命 (2012.11.1)本研究室の真嘉比愛さんが本学の今年度学生特命大使に任命されましたのでご報告します。
この制度は自らのものづくり経験を伝えることを中心に、本学と高等専門学校のものづくり教育連携の強化・高度化を推進することを目的として昨年度に制定された本学の制度です。選抜の結果、今年度は彼女を含む7人(うち修士課程学生は彼女のみ)が選ばれました。今後彼女は出身高専を訪問して高専と本学のものづくり教育連携の強化・高度化に関する活動、各種行事での積極的な本学のPR活動、高専と本学のものづくり教育連携の活性化に関するアイディアの提供などの活動を行います。
言語処理学会会誌に1件採録 (2012.9.11)言語処理学会会誌「自然言語処理」に本研究室から投稿した下記の論文1件が採録されましたのでお知らせします。
この論文は2011年3月に修士修了した柴木優美さんの修士論文をまとめたもので、原稿総ページ数が50ページ以上にもなる大作です。投稿は昨年9月でしたが我々の都合で論文修正に時間を確保することが困難な時期が続き、その結果投稿から採録までにほぼ1年かかってしまいました。その意味では思い入れも強い論文で、最終的に採録となってとても感慨深いです。
当該論文は Vol.19, No.4 として 2012年12月に掲載される予定です。なお、本論文に対して査読いただいた方々、及び学会編集委員会には多大なお手数をおかけしました。どうもありがとうございました。
高専生を4名受け入れ (2012.9.10-14)
今年度のオープンハウスとアドバンストコースが開催され、本研究室ではオープンハウスとして石川高専から2名(4年生)、アドバンストコースとしては富山高専射水から2名(4年生、5年生)の合計4名を1週間受け入れました。両者は制度も目的も異なる別の研修(あるいは授業)ですが、本研究室では今年度両研修を並列開催しました。
研修のテーマはいずれも機械翻訳システムを作成するというもので、今年度は英日翻訳を題材にして与えられた課題に取り組みました。研修は終始楽しい雰囲気で進みましたが今回受け入れた4名ともに熱心に説明を聞き、最後まで真剣に課題に取り組んでいました(時には夜遅くまで自主的に研究室に残って課題に取り組んでいたそうです)。また可能な範囲で大学施設の見学や興味のある他研究室の見学も企画しました。この1週間の経験が彼らにとって良い経験になり、少しでも見聞を広めることができたのであればうれしく思います。
来年度も引き続きオープンハウス、アドバンストコースとして(おそらく同じ研修テーマで)全国の高専生を受け入れますので、本研究室の学生と一緒に充実した研究室の1週間を過ごしましょう! あなたの応募をお待ちしています。
若手の会シンポジウムで奨励賞 (2012.9.3)東北大学で開催されたNLP若手の会 第7回シンポジウムにおいて本研究室から1件の発表を行いました。このシンポジウムは自然言語処理および関連分野の「若手」研究者の交流を促進し、若手のアクティビティを高めることを目指して毎年9月に開催されています。本研究室からは、学部4年生の梶原君が1日目のポスターセッションで、下記表題で発表を行いました。今年度学部生の学会発表としては初めてとなります。当日聴講して議論に参加いただいた多くの方々に心から感謝します。 この発表に対し、シンポジウムから奨励賞が授与されました。この賞は、これから始まる、または始まったばかりの研究発表を奨励することが主旨の表彰で、参加者の自由投票によって決まります。このような賞をいただくことができ、本当にありがとうございました。
テキストマイニングシンポジウムで1件発表 (2012.8.31)横浜で開催された第2回テキストマイニングシンポジウムにおいて博士課程久保木君が1件の発表を行いました。当日は非常に多数の参加者の中で研究発表することができ、また質疑応答においても非常に質の高い議論を行うことができました(会場が撮影禁止なため写真はありません)。聴講いただいた方々、及び議論に参加していただいた方々に心から感謝します。 なお、本発表において説明を行った記述要素辞書を希望者に無償・無条件で提供します。希望される方は山本までメールをお願いします。
11月中旬にハノイ(ベトナム)で開催される国際会議 IALP 2012 (The International Conference on Asian Language Processing) に、本研究室から2件の論文が採録されましたのでご報告します。
本研究室から IALP への採録は今回が初めてとなります。特に後者の研究は 学部4年生のアン君が今年1学期(4月~7月)に進めた研究をまとめたもので、本研究室において学部生の研究が 国際会議に採録されたのも今回が初めてです。
高校生講座を開催 (2012.8.9-10)本学主催の高校生講座(第Ⅰ期)が8月9日と10日に実施され、本研究室は今回初めて研究室として参加しましたのでご報告します。
今年は新津高校から2年生2名(いずれも女子)の参加希望をいただきました。本研究室では、プログラミング言語「なでしこ」を使って簡単なゲームを作成するというテーマで、2日間という短い期間でしたが、まじめに楽しくプログラミングの体験をしていただきました。 参加してくれた二人にとって、単なる大学見学会に終わらずに少しでも何かの知的刺激になったのであれば幸いです。
高校生講座は、プログラミングは難しそう、あるいは興味があるけど何をやっていいのか分からない、という高校生の潜在重要の掘り起こし、あるいはきっかけ作りの意図で今回開催しました。来年度もまた同時期に(応募人数をちょっと増やして)県内の高校生を受け入れて体験講座を開催したいと思いますので、興味のある高校生はぜひ応募してください。どうぞよろしくお願いします。
オープンキャンパス お礼 (2012.8.5) 昨年は大雨・洪水の直後で大変な状況での開催でしたが、今年はとても夏らしく、非常に暑い中での開催となりました。今年は従来と同じ展示内容の他、新しい展示パネルと新しいデモを作成して、例年通り学部4年生が説明を行いました。 今年は推定で過去最多の見学者の方に本研究室の展示・デモをご覧いただき、大成功で終わりました。見学いただいた高校生、高専生、ご家族の皆さまに心から感謝します。高校生、高専生の方々に、大学選びの参考に少しでもなったとすれば我々としては幸いです。どうもありがとうございました。
予告:8月5日に研究室紹介を行います (2012.7.9)
本研究室では8月5日(日)開催のオープンキャンパスで今年も研究室紹介を行います。
本研究室の研究室公開は、毎年研究室所属の学部4年生が中心になって展示内容を考えます。毎年新しい展示パネルとデモを作り、また説明することで学生はプレゼンテーションの練習になり、また見学者にはいつも新しい展示内容をご覧いただいています。現在学生が準備を進めているところです。
研究室公開は、電気棟(食堂向かいのビル)1階(ちょうど右の案内写真の建物1階部分)で行っています。
高専生、高校生、長岡周辺の皆さま、本学電気系3年生の皆さま、ぜひ本学オープンキャンパスにお越しください。また、今年から希望者には実際の研究室の見学も行いますので、見学の際に「研究室が見たい」と説明学生にお申し出ください。
説明員一同、皆さまのお越しをお待ちしています。
弥彦山に登りました (2012.6.2)
 本研究室恒例の第7回弥彦山登山を行いました。当日は気温も天気もちょうどよい絶好の登山日和でした。残念ながら今年は参加学生数が少なかったですが、気持ちよく弥彦山に登ることができました。
本研究室では年に1回、(一番気持ちよく登山ができる)この時期に日頃の運動不足解消と学生の卒業・修了祈願を兼ねて、弥彦神社にお参りすると共に弥彦山に登っています(自由参加)。
また来年も、参加してくれる学生と一緒に登りたいと思います。
外部発表
学術論文 - 柴木優美, 永田昌明, 山本和英. カテゴリ名と記事名の意味属性分類に基づくWikipediaからの上位下位関係オントロジーの構築. 自然言語処理, Vol.19, No.4, pp.229-279, 言語処理学会 (2012.12)
国際会議 - Manami Moku, Kazuhide Yamamoto and Ai Makabi. Automatic Easy Japanese Translation for information accessibility of foreigners. Proceedings of Coling-2012 Workshop on Speech and Language Processing Tools in Education (SLP-TED), pp.85-90 (2012.12)
- Tuan Anh Luu and Kazuhide Yamamoto. A Point-wise Approach for Vietnamese Diacritics Restoration. Proceedings of the International Conference on Asian Language Processing (IALP 2012), pp.189-192 (2012.11)
- Masamichi Ideue, Masao Utiyama, Eiichiro Sumita and Kazuhide Yamamoto. Modality-Preserving Phrase-Based Statistical Machine Translation. Proceedings of the International Conference on Asian Language Processing (IALP 2012), pp.129-132 (2012.11)
研究会 - 梶原智之, 山本和英. 小学生の読解支援に向けた語釈文による換言. NLP若手の会 第7回シンポジウム, (発表1) (2012.9) [ 原稿 ] [ ポスター ] (奨励賞受賞)
- 久保木武承, 山本和英. クエリと説明文の関係を表す記述要素辞書の構築. 電子情報通信学会 テキストマイニングシンポジウム, (2012.8) [ 原稿 ] [ スライド ]
大会- 真嘉比 愛, 山本和英. 常識表現となり得る用言の自動選定の検討. 言語処理学会第19回年次大会, pp.822-825 (2013.3)
- 杢真奈見, 山本和英. 「やさしい日本語」変換システムの試作. 言語処理学会第19回年次大会, pp.678-681 (2013.3)
- 岡田 正平, 山本和英. 文字列の出現頻度情報を用いた分かち書き単位の自動取得. 言語処理学会第19回年次大会, pp.422-425 (2013.3)
- 山本和英, 吉倉 孝太郎,. 用言等換言辞書を人手で作りました. 言語処理学会第19回年次大会, pp.276-279 (2013.3)
- 梶原 智之, 山本和英. 小学生の読解支援に向けた複数の換言知識を併用した語彙平易化と評価. 言語処理学会第19回年次大会, pp.272-275 (2013.3)
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