稲岡 夢人‎ > ‎

言語処理学会第25回年次大会

概要

在留外国人数の増加に伴って「やさしい日本語」の考え方が重要性を増している。一方で言語処理においては、自動平易化を対象とした研究が行われている。本研究では、やさしい日本語のための文法平易化に用いることを想定したコーパスをクラウドソーシングによって構築した。またコーパスで見られる書き換えの現象について分析を行った。

質疑応答

Q. 日本語学校では「みんなの日本語」を教材として用いているが、そのような教材を参考にして作られているのか?
A. 本研究は日本語学校に通っていない(通えない)方を対象に含めているので、そのような教材より初歩的と考えている。

Q. 中国語を母語とする方にとっては和語より漢語の方が分かる(「市役所の開く時間」より「開庁時間」の方がわかる)
A. 本研究は特定の母語を想定していないが、どんな日本語表現が易しいかは母語によって変化するというのは意識できていなかった。

Q. 用途を考えると、田中コーパスではなく外国人が読むようなテキストを含むコーパスを元に作成するべきなのでは?
A. 本研究室で過去に構築した平易化コーパスとの対応を取りたかったので田中コーパスを利用したが、今後拡張を行う のであればそれも視野に入れたいと考えている。

Q. 書き換えによって主語が無くなっているが、主語がない日本語表現は外国人にとって難しいのでは?
A. 指摘の通りであるが、現状では考慮できていないので、今後の課題とさせていただきたい。

Q. 機械翻訳の前処理に使えば翻訳性能を向上させられないか?
A. 日本語ではないが、過去にそのような研究は行われており、効果があることが示されているので、期待できると考える。

反省

書き換えの元になった基準についてあまり言及していなかったため、書き換えが妥当かどうかの判断が付きにくかった。
特に日本語教育の分野の方にとっては、日本語学校の教科書が基準となるので、そことの違い等を明確にする必要があると感じた。
また構築したコーパスの分析が不十分であり、例示部分以外の全容が明らかにできていなかった。
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